失われたコーヒー、まだ誰もその価値を見出していないコーヒーを探し求めて旅してきた。
いつしか人は僕をコーヒーハンターと呼ぶようになった...

コーヒー探訪記

2008年9月 マダガスカル 植物2

ちょうどバニラの花も咲いていた。結実するといんげん豆のように細長く伸びて行き、香り高いバニラになる。マダガスカルのバニラは、世界的に最高級品として有名で、また生産量も世界一だ。この香り高いバニラはラン科の植物で、日本ではマダガスカルやタヒチ産が有名だが、実は原産地はメキシコでこの地を侵略したスペイン人がヨーロッパに紹介した。しかしその当時のバニラは種子鞘が短く、現在のような形になったのは、19世紀中頃に人工授粉の技術を持っていたフランス人が交配を繰り返し、種子鞘を長くすることに成功してからだ。だからバニラの生産地が、フランスの元植民地に多いのも頷ける。
 

蔦のようなバニラブルボン ポワントゥの原産地レユニオン島も、バニラの生産地として有名で、この地のクレオール料理には、バニラが多用されていた。

バニラの花と蕾開花・結実後右のようなバニラビーンズとなっていく

インドネシアのスマトラ島で、マンデリンコーヒーの開発に携わった1995年当時、毎日うんざりするほど大量のクローブを使ったインドネシア料理を食べ、すっかり嫌いになったつもりでいたが、田舎道を歩いていたら漂ってきたの香りに釣られて農家の中庭に入ってしまった。すると庭先で、クローブの実の天日乾燥風景に出くわした。木になった実も乾燥中のクローブも見るのは初めてだった。生のクローブは、あの強烈な匂いとは結びつかない、かわいらしい乳白色の実だった。

クローブの実 クローブの乾燥作業乾燥したクローブ


最後にトラベラーズ パームをご紹介しよう。英語名を和訳すると「旅人の椰子」だが、和名では「旅人の木」と呼ばれている。しかし実はバナナと同じバショウ科の植物。遠くから見ると風にそよぐ葉が、手を振っているように見え、また茎に溜まった水が旅人の喉を潤したことからその名前が付いたと言われている。

トラベラーズパーム


僕が、この木を初めて見たのは、ジャマイカだった。北海岸のリゾート地モンテゴベイの山を散歩している時に出会った。中米では、一度も見たことが無かったし、一緒にいたジャマイカ人が教えてくれた名前の由来が、一年中旅を続ける僕には強烈な印象として残った。そして十数年後マダガスカルに行くまで、ずっとジャマイカが原産地だと思い込んでいた。


1999年南アフリカのヨハネスブルクの国際空港から、エアーマダガスカルに乗って初めてマダガスカルに行った。その時尾翼に付いていたこの木のマークに気付き、何故だろうと不思議に思った。その時もアレキシスが、マダガスカル原産の木だと教えてくれた。この旅は、コーヒーの絶滅危惧種マダガスカル原産のマスカロコフェア属を探すのが目的だった。首都アンタナナリブを四輪駆動車で出発し地方に向かったが、海抜が下がってくるとトラベラーズ パームが、目につくようになった。なるほどここが原産地だと実感したのは、更に低地に近付きこの木に覆い尽くされた山が出現した時だった。感動した!数千のトラベラーズ パームが、我々に手を振っていた。
 

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