
修道院に向かう前に、マハヌルの市場で修道院への差し入れを買って行くことにした。ウィークデーだというのに、市場は混んでいた。
どこの産地に行っても、僕は必ず市場に行く。そこに行くとその国の農業・漁業の水準や流通も理解できるしまた文化も垣間見ることができておもしろい。
マダガスカルでは、首都でも肉屋の屋台は冷蔵庫など無く、そのまま肉を吊るして売っている。ここでももちろんむき出しのままで、台の上で威勢よく切り分けて売っていたが、海抜1,300㍍の首都と沿岸部のこの町では気温が違うし蝿の数も違う。思わず大丈夫かと思ってしまうが、これは見て見ぬふりをして、その光景を記憶からそぎ落として食事に出された肉を食べないといけない。食事の度に思い出していたら、神経性下痢になりかねない。

海辺の町なので新鮮な魚類を売っているが、これも地べたに広げたビニールシートに、そのまま並べて売られている。鮮魚を扱っているおばさん達の後ろ側は、乾燥させた魚専門の列があった。意外にこの乾燥した魚の売場が多いのは、やはり流通がしっかりしていないからだろう。

小さなテーブルの上に、大きなたらいにスパゲッティを和えたようなものを入れて、売っている一画があった。目分量でフォークを使って小皿に取り分け、それを客は立ったまま食べている。日本で言えば、立ち食いソバみたいなものか。よほど人気があると見え、ひっきりなしに人々が立ち止まり、サラッと食べて買い物を続けている。その角を曲がると、数多くのおかずを並べて売っている大き目の屋台があり、姉妹で経営しているのかとても愛想の良い女性達だった。


おもしろくて、時間の経つのも忘れて市場を歩き回った。衣料関連の一画では、下着からジーンズなどあらゆる物が同じ店で売られていたが、農産物はそれぞれ専門店があるようで、米と豆類専門、野菜専門、果物専門と屋台が分かれていた。


市場の中央には、マダガスカル特産のラフィア椰子で作った買い物籠を売っている人々がいて、我々も籠を買った。このラフィアで作った帽子や籠は、日常品としてもマダガスカル人が使っている。とても丈夫で雨に打たれても強く、帽子や籠は100円以下で購入できるし、首都に行くとお土産用に洒落たデザインされたカバンや帽子を売っているが、それでもあまりの安さに驚かされる。

市場の外には、買い物帰りの人目当ての人力車が、のんびり客待ちをしていた。

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