
シスター達は、首を長くして僕の到着を待っていてくれた。今回の訪問には、JETROのケニア事務所から本プロジェクト担当のスタッフと、日本の本部からも2名が参加し、さらに現地でサポートしてくれているJICAの 専門家も加わったメンバーに、マダガスカル人の日本語通訳リナさんが加わっている。2台のランドクルーザーが、修道院の敷地に入っていくと、院長のシスター・オノリン(Honorine)と農作業担当のシスター・ジョセフィン(Josephine)が、両手を広げながら満面の笑顔で我々の方に向かって来る。去年の10月以来の再会だ。

早速二人の後に続いて、植え付け準備が済んだ試験区を案内してもらった。当初の予定では、パイナップルを植えていた0.4ヘクタール程の斜面を、試験区にする予定だったが、シスター達はもう一箇所少し大きめの試験区を用意してくれた。

そこで僕は、院長に提案した。《折角だからセクション1とかAなんて呼び名を付けないで、修道会にちなんだ名前を付けましょう。》院長は大賛成してくれ、小さい方がSainte Florine、 大きい方がSainte Ritaとその場で名付けてくれた。両方とも修道会に馴染みの深い聖女だそうだ。
実験区をくまなく回り、下準備の出来具合を確認し、その後で植え付け方法の指導をしている間に薄暗くなってきてしまった。
修道院の会議室に戻り一息ついた時、シスター・ジョセフィンが地元のThree Horse Beerを両手に抱えて入ってきた。マダガスカル語とフランス語しか通じないこの国で、どう言う訳かビールは英語の名前で、馬が三頭並んでいる絵柄のラベルが付いている。シスター・ジョセフィンの粋な計らいで、今後のプロジェクトの成功を祝って乾杯をした。つまみは、農園で採れたピーナッツだったが、マダガスカルのビールにはよくあった。
ビールを飲まないオノリン院長は、僕がお土産で持ってきた日本のカップオンコーヒーを開封して、使い方を練習していた。そしていつか修道院のコーヒーを使って、こんな製品を作れる日が来る事を神に祈り続けると言ってコーヒーを飲んでいた。それが実現できるように僕も頑張らなければ!

今後の予定を打ち合わせ我々が帰路に着いた時には、もうすっかり真っ暗で車のヘッドライトに浮かぶ道路しか見えなかった。
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