失われたコーヒー、まだ誰もその価値を見出していないコーヒーを探し求めて旅してきた。
いつしか人は僕をコーヒーハンターと呼ぶようになった...

日本コーヒー昔話

コーヒー倉庫

コーヒー焙煎問屋で生まれた僕の子供の頃の遊び場は、世界中から届いた麻袋に入ったコーヒーが、うず高く積まれている生豆倉庫だった。コーヒーは湿度を嫌うので、風通しの良い薄暗い倉庫に保管されていて、夏の暑い盛りはひんやりする麻袋の上に寝転がって、近所の古本屋で借りて来た漫画を読んだりしたものだ。荷崩れしたら大変危険なので、両親からは麻袋に乗ることは固く禁じられていたが、ジャングルジムさながら麻袋から麻袋に飛び回って遊んでいた。

コーヒーの香りは知っていても、焙煎する前の生豆の匂いは、一般の人々には馴染みがないと思う。最近では、業界の人間でも焙煎工場と営業がはっきり分業になってしまった大手では、生豆を見たことない社員もいて驚いてしまう。

生豆はとてもあの芳しいコーヒーとは思えない、とても言葉では説明できない匂いだ。決して耐えられないほど臭いというほどではないが、実際嗅いでみたらそのギャップに驚くだろう。しかし僕にとって生豆の匂いは、子供時代を思い出させてくれる懐かしい香りだ。

倉庫の麻袋は、そこに書いてある意味不明の文字とデザインが、僕を知らない世界に誘ってくれた。それぞれ違う言語で書かれた麻袋に、違う味のコーヒーが入っていて、それを父が毎日焙煎しお客さんが買って行く。静岡の町に世界中から届くコーヒー!いつかそのコーヒーをつくっている国を訪れてみたいと夢はふくらんだ。

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ホセからの手紙

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